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Win32 APIでスレッドを使用する(その2)

この記事は2020年04月20日に投稿しました。

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目次

  1. はじめに
  2. Win32 APIでスレッドを使用する(その2)
  3. おわりに

1. はじめに

こんにちは、iOSのエディタアプリPWEditorの開発者の二俣です。
今回はWin32 APIでスレッドを使用する方法(その2)についてです。

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2. Win32 APIでスレッドを使用する(その2)

Win32 APIでスレッドを使用する方法(その2)ですが、スレッドを作成時に起動せず後で起動する方法です。
スレッドを作成時に起動せず後で起動する方法ですが、以下のような手順になります。

  1. CreateThreadでスレッドを作成する際、第5引数dwCreationFlagsに"CREATE_SUSPENDED"を指定します。
  2. スレッド作成後、スレッドを起動したいタイミングでResumeThread関数を呼び出し、スレッドを起動します。

CreateThread関数

書式
HANDLE CreateThread(
  LPSECURITY_ATTRIBUTES   lpThreadAttributes,
  SIZE_T                  dwStackSize,
  LPTHREAD_START_ROUTINE  lpStartAddress,
  __drv_aliasesMem LPVOID lpParameter,
  DWORD                   dwCreationFlags,
  LPDWORD                 lpThreadId
);
引数

lpThreadAttributes
返されたハンドルを子プロセスが継承できるかどうかを決定するSECURITY_ATTRIBUTES構造体へのポインター。
NULLの場合、ハンドルを継承することはできません。

dwStackSize
スタックの初期サイズ(バイト単位)
この値は最も近いページに丸められます。
このパラメーターがゼロの場合、新しいスレッドは実行可能ファイルのデフォルトサイズを使用します。

lpStartAddress
スレッドによって実行される関数へのポインター。
スレッドによって実行される関数は、以下のThreadProc関数で定義される書式である必要があります。
(関数名は任意です)

lpPrameter
スレッドに渡される変数へのポインター

dwCreationFlags
スレッドの作成を制御するフラグ

定数 内容
- 0 スレッドは作成直後に実行されます。
CREATE_SUSPENDED 0x00000004 スレッドは中断状態で作成され、ResumeThread関数が呼び出されるまで実行されません 。
STACK_SIZE_PARAM_IS_A_RESERVATION 0x00010000 dwStackSizeのパラメータは、スタックの最初の予約サイズを指定します。
このフラグが指定されていない場合、dwStackSizeはコミットサイズを指定します。

lpThreadId
スレッド識別子を受け取る変数へのポインター。
このパラメーターが NULLの場合、スレッドIDは返されません。

戻り値

関数が成功した場合、新しいスレッドへのハンドル
関数が失敗した場合、NULL
拡張エラー情報を取得するには、GetLastError関数を呼び出します 。

ThreadProc関数

※関数名は任意です。

書式
DWORD WINAPI ThreadProc(
  _In_ LPVOID lpParameter
);
引数

lpParameter
CreateThread関数のlpParameterパラメーターで渡される変数へのポインタ

戻り値

関数の成功またはエラーを示す値

ResumeThread関数

※関数名は任意です。

書式
DWORD ResumeThread(
  HANDLE hThread
);
引数

hThread
スレッドへのポインタ

戻り値

関数が成功した場合、戻り値はスレッドの以前の中断カウント
関数が失敗した場合、戻り値は(DWORD)-1
拡張エラー情報を取得するには、GetLastError関数を呼び出します。

実装例

#include <iostream>
#include <Windows.h>
#include <random>

// スレッドで動作する関数
DWORD WINAPI ThreadProc(LPVOID pParam)
{
    std::random_device rnd;
    for (int i = 0; i < 100; ++i)
    {
        std::cout << std::hex << rnd() << std::endl;
    }
    return 0;
}

int main()
{
    // スレッドを停止した状態で生成します。
    std::cout << "スレッドを生成します。" << std::endl;
    HANDLE hThread = CreateThread(
        NULL,
        0,
        ThreadProc,
        NULL,
        CREATE_SUSPENDED,
        NULL
    );

    // スレッドを起動する前の処理
    // ここでは単純にスリープします。
    Sleep(3000);

    // スレッドを起動します。
    std::cout << "スレッドを開始します。" << std::endl;
    ResumeThread(hThread);

    // スレッドの終了を待ちます。
    WaitForSingleObject(hThread, INFINITE);
    std::cout << "スレッドが終了しました。" << std::endl;

    // スレッドハンドルを閉じます。
    CloseHandle(hThread);

    getchar();
    return 0;
}

API Reference

CreateThread関数

ThreadProc関数

ResumeThread関数

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3. おわりに

前回

www.paveway.info

はスレッドを生成すると同時にスレッドも起動していました。
今回スレッドをあとから起動する方法を知ったので、その方法を紹介しました。

紹介している一部の記事のコードはGitlabで公開しています。
興味のある方は覗いてみてください。

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