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MFCでスクロールバーを使用する。

この記事は2019年02月04日に投稿しました。

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目次

  1. はじめに
  2. MFCでスクロールバーを使用する
  3. おわりに

かんたん Visual C++ [改訂2版] (プログラミングの教科書)

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1. はじめに

こんにちは、iOSのエディタアプリPWEditorの開発者の二俣です。
今回は業務で使用しているMFCでスクロールバーを使用する方法についてです。

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2. MFCでスクロールバーを使用する

MFCでスクロールバーを使用する方法ですが、以下の手順で行います。

  1. ダイアログのフォームにスクロールバーを配置します。
    今回は垂直方向のスクロールバーとします。
  2. ダイアログのイベントで、WM_VSCROLLイベントのイベントハンドラを追加します。
    水平スクロールバーの場合、WM_HSCROLLイベントのイベントハンドラを追加して下さい。
  3. スクロールバーの情報を取得/設定するため、スクロールバーのコントロール変数を追加します。
  4. ダイアログ初期化処理OnInitDialog関数等で、スクロールバーの初期状態を設定します。
  5. イベントハンドラで、各イベントごとの処理を実装します。

実装例

SampleDlg.h
#pragma once
#include "resource.h"
#include "afxwin.h"

class CSampleDlg : public CDialogEx
{
...
protected:
    // ダイアログ初期化時の処理
    virtual BOOL OnInitDialog();

    DECLARE_MESSAGE_MAP()
public:
    // 2. 垂直スクロールバーのイベントハンドラ
    afx_msg void OnVScroll(UINT nSBCode, UINT nPos, CScrollBar* pScrollBar);

private:
    // 3. スクロールバーのコントロール変数
    CScrollBar m_sbVScroll;
...
};
SampleDlg.cpp
#include "stdafx.h"
#include "SampleDlg.h"

/**
 * @brief ダイアログの初期化時に呼出されます。
 *
 * @return 処理結果 TRUE:成功/FALSE:失敗
 */
BOOL CSampleDlg::OnInitDialog()
{
    // 親クラスの関数を呼び出します。
    CDialogEx::OnInitDialog();
...
    // 4. スクロールバーの初期状態を設定します。
    // 現在の設定値を取得します。
    SCROLLINFO si;
    ZeroMemory(&si, sizeof(si));
    si.fMask = SIF_PAGE | SIF_RANGE;
    m_sbVScroll.GetScrollInfo(&si);

    // 初期状態を設定します。
    // ボックス(カーソル)の長さを設定します。
    // 1を設定すると、最小位置、最大位置の範囲に応じてボックスの長さが変わるようです。
    si.nPage = 1;
    // 最小位置(値は任意)を設定します。
    si.nMin = 0;
    // 最大位置(値は任意)を設定します。
    si.nMax = 100;
    m_sbVScroll.SetScrollInfo(&si);
...
    return TRUE;
}

// 2. メッセージマップ
BEGIN_MESSAGE_MAP(CSampleDlg, CDialogEx)
    ON_WM_VSCROLL()
END_MESSAGE_MA()

/**
 * @brief 2. 垂直スクロールバーが変更された時に呼出されます。
 *
 * @param [in] nSBCode イベントID
 * @param [in] nPos 変更されたスクロール位置
 * @param [in] pScrollBar スクロールバー
 */
void CSampleDlg::OnVScroll(UINT nSBCode, UNIT nPos, CScrollBar* pScrollBar)
{
    // スクロールバーのIDを取得します。
    // 複数スクロールバーがある場合、スクロールバーのIDで処理を振り分けます。
    int nID = pScrollBar->GetDlgCtrlID();
    // 対象のスクロールバーの場合
    if (nID == IDC_SB_VSCROLL)
    {
        // スクロールバーの位置を取得します。
        // 引数のnPosと同じ値です。
        int pos = pScrollBar->GetScrollPos();

        // 5. スクロールバーの各イベントごとの処理を実装します。
        // 発生したイベントにより処理を振り分けます。
        BOOL bIsChange = FALSE;
        int min = 0;   // OnInitDialogで設定した最小位置
        int max = 100; // OninitDialogで設定した最大位置
        switch (nSBCode)
        {
        case SB_LINEUP:
            // スクロールバーの上部の上矢印ボタンを押下した場合
            if (pos > min)
            {
                bIsChange = TRUE;
                --pos;
            }
            break;

        case SB_LINEDOWN:
            // スクロールバーの下部の下矢印ボタンを押下した場合
            if (pos < max)
            {
                bIsChange = TRUE;
                ++pos;
            }
            break;

        case SB_THUMBPOSITION:
            // スクロールバーのボックスのドラッグが終了した場合
            bIsChange = TRUE;
            pos = nPos;
            break;

        case SB_PAGEUP:
            // スクロールバーのボックスの上部スクロールバーをクリックした場合
            if (pos > min)
            {
                bIsChange = TRUE;
                --pos;
            }
            break;

        case SB_PAGEDOWN:
            // スクロールバーのボックスの下部スクロールバーをクリックした場合
            if (pos < max)
            {
                bIsChange = TRUE;
                ++pos;
            }
            break;

        default:
            // 上記以外、何もしません。
            break;

        // スクロール位置に変更があった場合
        if (bIsChange)
        {
            // スクロール位置を更新します。
            BSCROLLINFO si;
            ZeroMemory(&si, sizeof(is));
            pScrollBar->GetScrollInfo(&si);
            si.nPos = pos;
            si.fMask = SIF_POS;
            pScrollBar->SetScrollInfo(&si);

            // 以下にスクロール位置に応じた処理を実装して下さい。
        }
    }

    // 上記以外
    else
    {
        // デフォルトの関数を呼び出します。
        CDialogEx::OnVScroll(nSBCode, nPos, pScrollBar);
    }
}

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3. おわりに

スクロールバーのイベントは、スクロールバー自体のイベントハンドラではなく、スクロールバーを配置したフォームやダイアログのWM_VSCROLLWM_HSCROLLイベントのイベントハンドラで処理されるようです。
最初これがわからず、スクロールバーが動作しなくて困りました。

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