この記事は 2026 年 8 月 13 日に投稿しました。

目次
- はじめに
- DartのHashSetからenumの名前をキーにしたMapを作成する
- 作成したMapからenum値を取得する
- asNameMapメソッドを使用する場合の注意点
- byNameメソッドとの違い
- おわりに
1. はじめに
こんにちは、iOS のエディタアプリPWEditorとその後継PWEditorNextの開発者の二俣です。 2018年5月から毎日技術ブログを更新しています。
今回はDartのHashSetから、enumの名前をキーにしたMapを作成するasNameMapメソッドについてです。
2. DartのHashSetからenumの名前をキーにしたMapを作成する
DartのHashSetにenum値を格納している場合、asNameMapメソッドを使用すると、enumの名前をキーにしたMapを作成できます。
asNameMapメソッドの形式は以下になります。
Map<String, T> asNameMap()
戻り値は、enum値のnameをキー、enum値そのものを値とするMap<String, T>です。
例えば、次のようなenumを定義します。
enum Color {
red,
green,
blue,
}
このenum値を格納したHashSetに対してasNameMapメソッドを使用する場合は、次のようになります。
実装例
import 'dart:collection'; enum Color { red, green, blue, } void main() { final set = HashSet<Color>(); set.addAll([ Color.red, Color.green, Color.blue, ]); final map = set.asNameMap(); print(map); }
実行すると、enum値の名前をキーにしたMapが作成されます。
例えば、作成されるMapの内容は次のようになります。
{
'red': Color.red,
'green': Color.green,
'blue': Color.blue,
}
Color.redの場合、enum値のnameはredなので、
'red': Color.red
というキーと値の組み合わせになります。
同様に、
Color.green Color.blue
からは、それぞれgreen、blueをキーとする要素が作成されます。
このようにasNameMapメソッドを使用すると、enum値の集合を、名前からenum値を取得できるMapに変換できます。
なお、HashSetは要素の順序を保証しません。
そのため、作成されるMapの要素の並び順を前提とした処理は避けた方がよさそうです。
3. 作成したMapからenum値を取得する
asNameMapメソッドで作成したMapでは、enumの名前を文字列で指定してenum値を取得できます。
例えば、先ほどのColorを使用してgreenに対応するenum値を取得する場合は次のようになります。
import 'dart:collection'; enum Color { red, green, blue, } void main() { final set = HashSet<Color>(); set.addAll([ Color.red, Color.green, Color.blue, ]); final map = set.asNameMap(); final color = map['green']; print(color); }
実行結果
Color.green
asNameMapメソッドによって、
'green': Color.green
という要素が作成されているため、
map['green']
とすることでColor.greenを取得できます。
存在しない名前を指定した場合はnullが返されます。
例えば、
final color = map['yellow']; print(color);
とした場合の実行結果は次のようになります。
null
そのため、外部から受け取った文字列などをenum値に変換したい場合にも利用できます。
例えば、次のように記述できます。
final name = 'blue'; final color = map[name]; if (color != null) { print('enum値: $color'); } else { print('該当するenum値がありません'); }
このように、asNameMapメソッドであらかじめMapを作成しておけば、enumの名前をキーとしてenum値を取得できます。
4. asNameMapメソッドを使用する場合の注意点
asNameMapメソッドは、どのような型のHashSetでも使用できるわけではありません。
asNameMapメソッドは、enum値を格納したIterableで利用できるEnumByName拡張によって提供されています。
そのため、例えば次のようなHashSet<String>に対して使用することはできません。
final set = HashSet<String>(); set.addAll([ 'red', 'green', 'blue', ]); final map = set.asNameMap(); // 使用できない
asNameMapメソッドを使用する場合は、次のようにenumを要素とする必要があります。
final set = HashSet<Color>(); set.addAll([ Color.red, Color.green, Color.blue, ]); final map = set.asNameMap();
また、通常は同じenum型の値では、それぞれ異なる名前が定義されています。
例えば、
enum Color {
red,
green,
blue,
}
では、red、green、blueという異なる名前を持っています。
asNameMapメソッドでは、この名前がMapのキーとして使用されます。
なお、異なるenum型の値などを組み合わせ、同じ名前を持つenum値が複数含まれている場合、作成されるMapでは同じキーを複数保持することはできません。
基本的には、1つのenum型の値をまとめて扱う用途で使用するのがわかりやすそうです。
5. byNameメソッドとの違い
enumの名前からenum値を取得する方法として、byNameメソッドもあります。
例えば、enumに自動的に用意されるvaluesに対して、次のように使用できます。
enum Color { red, green, blue, } void main() { final color = Color.values.byName('green'); print(color); }
実行結果
Color.green
byNameメソッドでは、
Color.values.byName('green')
のように名前を指定して、該当するenum値を直接取得します。
一方、asNameMapメソッドでは、
final map = Color.values.asNameMap();
として、最初にenumの名前とenum値を対応付けたMapを作成します。
その後は、
final color = map['green'];
のようにMapからenum値を取得できます。
大きな違いは、名前による検索を繰り返す場合です。
byNameメソッドは、呼び出すたびに要素を順番に調べて、指定された名前と一致するenum値を検索します。
一方、asNameMapメソッドであらかじめMapを作成しておけば、そのMapを使用して名前からenum値を検索できます。
例えば、次のようにMapを保持して利用できます。
enum Color { red, green, blue, } void main() { final colorMap = Color.values.asNameMap(); print(colorMap['red']); print(colorMap['green']); print(colorMap['blue']); }
実行結果
Color.red Color.green Color.blue
また、存在しない名前を指定した場合の動作にも違いがあります。
byNameメソッドでは、指定した名前を持つenum値が存在しない場合はArgumentErrorが発生します。
一方、
map['yellow']
のようにasNameMapメソッドで作成したMapから取得する場合、該当するキーが存在しなければnullが返されます。
そのため、名前からenum値を1回だけ取得するような場合はbyNameメソッド、名前からenum値を何度も検索したい場合や、存在しない名前をnullとして扱いたい場合はasNameMapメソッドで作成したMapを使用する方法が便利そうです。
なお、asNameMapメソッドはHashSet固有のメソッドではありません。
enum値を要素とするIterableで利用できるEnumByName拡張のメソッドなので、HashSet以外でも使用できます。
例えば、enumに自動的に用意されるvaluesでも、
final map = Color.values.asNameMap();
のように使用できます。
リファレンス
6. おわりに
enum値を格納したHashSetから、enumの名前をキーにしたMapを作成するには、asNameMapメソッドを使用します。
例えば、
final map = set.asNameMap();
とすると、各enum値のnameをキー、enum値そのものを値とするMapが作成されます。
Color.red、Color.green、Color.blueが格納されている場合は、
{
'red': Color.red,
'green': Color.green,
'blue': Color.blue,
}
のようなMapとして扱えます。
作成したMapでは、
final color = map['green'];
のようにenumの名前からenum値を取得できます。
また、byNameメソッドを使用して、
Color.values.byName('green');
のように名前からenum値を直接取得することもできます。
名前からenum値を1回だけ取得する場合はbyNameメソッド、名前による検索を繰り返す場合や、存在しない名前をnullとして扱いたい場合はasNameMapメソッドでMapを作成して利用するとよさそうです。
なお、asNameMapメソッドはHashSet固有のメソッドではなく、enum値を要素とするIterableで利用できるEnumByName拡張によって提供されています。
そのため、HashSetだけでなく、
Color.values.asNameMap();
のように、enumのvaluesなどでも利用できます。
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