プログラムを書こう!

実務や自作アプリ開発で習得した役に立つソフトウェア技術情報を発信するブログ

C++/CLIでdelegateを使って処理を共通化する。

この記事は2018年08月04日に投稿しました。

f:id:paveway:20190914064630j:plain

目次

  1. はじめに
  2. 処理の共通化
  3. おわりに

つくって覚えるC++/CLI入門

つくって覚えるC++/CLI入門

  • 作者: オフィス加減
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 1人 クリック: 2回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る

1. はじめに

こんにちは、iOSのエディタアプリPWEditorの開発者の二俣です。

今回は業務で使用しているC++/CLIの話です。
設定値が"キー,値"の形式で定義され、その設定値の定義が複数行ある設定ファイルが、3種類ありました。
そしてその設定値を保持する構造体も3つ用意されており、それぞれの設定ファイルのキーに対する構造体のメンバに値を設定していました。

プログラムでは、それぞれ処理メソッドが用意され、以下の処理を行っていました。 処理項目を見るとわかるのですが、"3の処理"以外の処理は同じ処理を行っていました。

  1. ファイルをオープンする。
  2. ファイルデータを1行読み込み込む。
  3. 読み込んだ1行データをパースし、キー項目に対する構造体メンバーに値を設定する。
  4. ファイルをクローズする。

そのため"3の処理"を外だしできれば、処理を共通化できるのではないかと考えました。
検討した結果、delegateを使って処理を共通化しました。

目次へ

2. 処理の共通化

まず個別のパース処理になる部分のdelegateを定義します。
実際の処理部分のコードは省略します。

delegate bool ParseLineDelegate(String^ line);

つぎにそれぞれのパース処理を実装します。

// 設定ファイルAの項目を構造体Aに設定します。 
bool ParseLineA(String^ line)
{
    // 引数lineが正常なデータならばtrueを返却し、不正なデータの場合falseを返却します。
    // 引数lineが正常なデータの場合、キーに対する構造体メンバーに値を設定します。
}

// 設定ファイルBの項目を構造体Bに設定します。
bool ParseLineB(String^ line)
{
    // 引数lineが正常なデータならばtrueを返却し、不正なデータの場合falseを返却します。
    // 引数lineが正常なデータの場合、キーに対する構造体メンバーに値を設定します。
}

// 設定ファイルCの項目を構造体Cに設定します。
bool ParseLineC(String^ line)
{
    // 引数lineが正常なデータならばtrueを返却し、不正なデータの場合falseを返却します。
    // 引数lineが正常なデータの場合、キーに対する構造体メンバーに値を設定します。
}

設定ファイルを読み込む処理を実装します。 引数で渡されたデリゲートでパース処理を行います。

/// ファイルを読み込み、1行データをそれぞれのパース処理で処理します。
bool ReadFile(String^ fileName, ParseLineDelegate^ ParseLine)
{
    StreamReader^ sr = nullptr;
    try
    {
        // ストリームリーダーを生成します。
        sr = gcnew StreamReader(fileName);
        
        // 1行データがなくなるまで繰り返します。
        String^ line = nullptr;
        while ((line = sr->ReadLine()) != nullptr)
        {
            // パース処理を呼び出します。
            if (!ParseLine(line))
            {
                // エラーの場合、エラー終了します。
                return false;
            }
        }
        
        // すべてパースできた場合、正常終了します。
        return true;
    }
    catch (Exception^)
    {
        // 例外が発生した場合、エラー終了します。
        return false;
    }
    finally
    {
        // ファイルを閉じます。
        if (sr != nullptr)
        {
            sr->Close();
        }a
    }
}

設定ファイル読み込み処理を呼び出す側の処理です。 サンプルでは、ReadFileメソッドの戻り値は無視しています。
必要に応じてエラー処理を行ってください。

// 設定ファイルを読み込む処理
void ReadSettingFile()
{
    ReadFile("fileNameA", gcnew ParseLineDelegate(this, &ParseLineA);
    ReadFile("fileNameB", gcnew ParseLineDelegate(this, &ParseLineB);
    ReadFile("fileNameC", gcnew ParseLineDelegate(this, &ParseLineC);
}

目次へ

3. おわりに

最初は関数ポインタを使ってパース処理を呼び出そうとしましたが、関数ポインタマネージドコードでは使えないようでした。
そのため別の方法を探したところ、delegateでできることがわかりました。
処理が共通化できて、コードがすっきりしました。

お仕事決まれば全額キャッシュバック!転職特化型Ruby実践研修【ポテパンキャンプ】

実践C++/CLI 極めるための基礎と実用テクニック

実践C++/CLI 極めるための基礎と実用テクニック

紹介している一部の記事のコードはGitlabで公開しています。
興味のある方は覗いてみてください。

目次へ


私が勤務しているニューラルでは、主に組み込み系ソフトの開発を行っております。
弊社製品のハイブリッドOS Bi-OSは高い技術力を評価されており、特に制御系や通信系を得意としています。
私自身はiOSモバイルアプリウィンドウズアプリを得意としております。
ソフトウェア開発に関して相談などございましたら、お気軽にご連絡ください。

また一緒に働きたい技術者の方も随時募集中です。
興味がありましたらご連絡ください。

EMAIL : info-nr@newral.co.jp / m-futamata@newral.co.jp
TEL : 042-523-3663
FAX : 042-540-1688

目次へ